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介護施設のAI活用 記録と申し送りとシフト作成を省力化する実例

介護施設のAI活用 記録と申し送りとシフト作成を省力化する実例

介護記録・申し送り・シフト作成をAIに任せる現実解。特養で月80時間の記録工数を減らした実例と費用感、導入順序を施設長・事務長向けに整理する。

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介護・福祉施設は、記録・申し送り・シフト・請求・家族対応と業務が多層的で、人手不足が慢性化しています。

AIで現実的に置き換えられるのは、定型かつ反復が多い「介護記録の音声入力・要約」「申し送り(引き継ぎ)のAI要約」「シフト作成の自動生成」の3領域です。

本稿では、これらをどの順序で導入し、費用と運用負荷をどう設計するかを、施設長・事務長の判断軸に絞って整理します。

結論:介護記録の音声入力から入り、次に申し送り要約、最後にシフト作成AI。50床特養で月80時間の記録工数削減、6〜12ヶ月で回収する設計が現実的です。

介護施設AI化の全体像

介護施設でAIが効く3領域と効かない領域

夜勤明けの職員が、記録が終わらずケアワーカーステーションで手書きメモを打ち直している――介護現場でよく見る光景です。

日中は利用者対応でPCに触れず、記録・申し送り・シフト調整が全部シフト終了後に残ります。

シフト表は月末に事務長が数日かけて手作業で組み、希望休の競合とベテラン・若手の配置バランスに毎回頭を悩ませる。

「人が足りない」ではなく「本来のケアに時間が使えない」構造が慢性化していることが、多くの施設長・事務長の共通の痛みです。

💡 ここがポイント

AI化の切り分けは「定型・反復・生命に直結しない」領域から。ケアプラン策定・医療的判断は介護支援専門員/看護師に残し、バイタル異常・転倒・体調変化は必ず人の確認を挟む設計を最初に決めます。

介護施設の業務をAIで置き換える際、効く領域と効かない領域を最初に切り分けることが、導入失敗を避ける最大のポイントです。

定型かつ反復が多く、誤りが起きても利用者の生命に直結しない領域はAI化の対象になります。

逆に、ケアプラン策定・医療的処置の判断・急変時の対応判断は、原則として人(介護支援専門員・看護師)の判断を残します。

介護記録のAI要約でも「バイタルの異常値」「転倒・体調変化」は必ず人の確認を挟む設計が必須です。

下表は、AIで置き換えやすい度合いを整理したものです。

費用対効果と介護安全のリスクを掛け合わせ、優先度を判断します。

領域置き換えやすさ主なツール例リスク水準
介護記録の音声入力・AI要約CareViewer、ケアコラボ、AI音声入力SaaS低(一次記録は保存)
申し送り(シフト交代時の引き継ぎ)要約LLM+施設内チャット連携低〜中(重要事項は人確認)
シフト作成(希望・資格・配置基準の自動最適化)シフト管理SaaSのAIオプション中(管理者が最終承認)
家族向け報告書の下書きLLMチャットボット中(個人情報の扱い注意)
見守りセンサー(転倒・離床検知)専用センサーAI中(誤検知の運用設計必要)
ケアプラン策定不可不可(介護支援専門員の専管)
医療的処置の判断不可不可(医師・看護師の判断)

介護保険法上、ケアプランの作成・変更は介護支援専門員の専管業務です。

AIが「アセスメントから直接ケアプランを出力する」運用は避け、あくまで下書き・情報整理として活用し、最終判断は必ず専門職に残す前提で設計します。

実例:50床特別養護老人ホームで介護記録が月80時間減った

実際に当社が支援した50床の特別養護老人ホーム(介護職員35名・看護師3名・介護支援専門員2名)では、介護記録の音声入力+AI要約を3ヶ月かけて段階導入し、施設全体で月80時間ほどの記録工数を削減しました(社内ヒアリングベース・2026年Q1実測値)。

導入前の介護職員は、日中のケアの合間にケアワーカーステーションのPCへ戻り、手書きメモを見ながら記録を打ち込んでいました。

1人あたり1日30〜45分が記録作業に費やされ、夜勤明けは残業になることも珍しくない状況です。

音声入力を入れた最初の1ヶ月は、方言や介護用語の誤変換で辞書登録を毎週追加し、2ヶ月目からAI要約の再修正率が20%まで下がりました。

3ヶ月目時点で、記録の75%は音声入力+AI要約で完結し、残り25%(バイタル異常・体調変化・家族対応)だけ人が加筆する構造が安定しました。

費用は初期50万円・月額8万円で、削減できた記録工数を時給1,700円換算(社保込みの介護職の実コスト)で月13.6万円。

差し引きで月額5.6万円のプラス、初期投資は約9ヶ月で回収する見込みです。

金銭効果以上に、「記録が終わらず定時に帰れない」現場ストレスの解消と、離職率が前年比で低下した見込み効果が定着の決め手になりました。

自施設のどの業務からAIを入れるかは、施設種別(特養・老健・グループホーム・デイ)・入居者の要介護度・既存の記録システムで判断が変わります。

まずは業務を可視化する段階から相談したい方向けに、初月無料の経営AI診断で優先順位を一緒に整理するご相談も受け付けています。

申し送り(引き継ぎ)とシフト作成のAI化設計

介護記録の次に効くのが「申し送り(シフト交代時の引き継ぎ)」と「シフト作成」のAI化です。

両方とも記録データが下地になるため、記録AI化とセットで進めると導入が楽になります。

申し送りAIは、日中の記録から「夜勤者が知っておくべき変化」を要約して抽出する仕組みです。

従来は日勤リーダーが30〜60分かけて口頭伝達と申し送りノートを作成していた作業を、AIが5分で下書きし、リーダーが確認するだけで済むようになります。

ポイントは「重要度分類」で、バイタル異常・転倒・服薬変更などは必ず人が読み上げる項目としてマーキングし、そうでない情報は要約で圧縮する設計にします。

丸投げにせず、リーダーの判断責任を残すことが医療事故防止と両立する現実解です。

申し送りとシフト作成のフロー

シフト作成AIは、職員の希望・資格・配置基準(介護保険法上の人員配置基準)を全て満たすシフトを自動生成します。

従来は事務長やユニットリーダーが月末に数日かけて作成していた作業ですが、AIなら制約条件を入力すれば数分で複数案を提示できます。

ただし「AIが出したシフトをそのまま公開する」運用は現場の納得感が得にくいため、必ず管理者が調整・最終承認する2段階運用にします。

特に希望休が競合するケース、有給消化のバランス、若手とベテランの組み合わせなど、機械が最適化しきれない要素は人が判断する余地を残します。

シフト作成AIで詰まりやすいのは、勤怠システム・給与計算ソフト・シフト作成AIの3者間でデータが分断するパターンです。

API連携できる組み合わせか、CSV転記・手作業がどこに残るかを、導入前に必ず棚卸しします。

連携が無いまま入れると「AIで作ったシフトを事務が給与ソフトに手入力する」新しい無駄が発生します。

介護施設向けAI導入の費用相場と補助金の使い方

📌 覚えておく

50床規模で月80時間の記録削減なら人件費圧縮は月13〜17万円。月額費用と相殺して月5〜10万円のプラス、初期費用は6〜12ヶ月で回収する設計が現実解の目安です。補助金活用で初期ハードルはさらに下がります。

介護施設向けAI導入の費用は、「介護記録AI」「申し送りAI」「シフト作成AI」の組み合わせで決まります。

市場相場の目安は下表の通りです(2026年Q2時点・ベンダー公開資料および当社支援案件ヒアリングからの集計)。

実額は施設種別・規模・既存システム連携で大きく振れるため、必ず複数社の見積もりを取って比較してください。

介護施設向けAI導入費用の目安

機能初期費用(目安)月額費用(目安)主な変動要因
介護記録AI(音声入力+要約)20〜80万円3〜10万円職員数・端末数・辞書調整
申し送りAI(要約・配信)10〜40万円2〜6万円施設内チャット連携
シフト作成AI30〜100万円3〜10万円職員数・拠点数
家族向け報告書AI5〜20万円1〜3万円LLM API利用量
既存介護ソフトとのAPI連携20〜80万円ベンダーのAPI公開状況

費用対効果の計算は、削減できる記録・シフト作成の工数 × 時給(社保込みの介護職・事務職の実コスト 1,700〜2,200円目安)で行います。

50床規模で月80時間の記録削減なら月13〜17万円の人件費圧縮になり、月額費用と相殺して月5万〜10万円のプラス、初期費用は6〜12ヶ月で回収する設計が一般的です。

補助金の活用も現実的な選択肢です。

介護分野のICT導入支援事業(都道府県ごとに実施・介護記録ソフト等の導入に活用可能)、業務改善助成金(賃金引き上げとセットで最大600万円)、IT導入補助金(通常枠・複数社連携枠)などが対象になり得ます。

ベンダーが申請代行してくれる場合もあるので、見積もり時に補助金対応の実績を確認するのが良い判断軸です。

業界横断の相場感は中小企業向けAI導入の初期費用と相場感で整理しています。

個人情報・介護保険法・現場定着の運用ルール

介護施設のAI化は、技術選定と同じくらい運用ルール策定に時間が掛かります。

実務上の論点は3つです。

第一に、AIサービスへ送信する記録データが「個人を識別可能か」を判定します。

氏名・要介護度・症状の組み合わせは個人識別情報に該当する場合があり、ベンダーとのデータ処理契約(DPA)で「学習に使わせない」「保管場所・期間を明示」「再委託先の透明性」を必ず確認します。

介護分野向けプランで学習利用オプトアウトが可能なサービスは複数存在します。

厚生労働省が公表する「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」も併せて参照してください。

第二に、「AIがケアプラン策定・医療的処置の判断・助言をしない」運用を施設内ガイドラインに明文化します。

介護保険法上、ケアプランの作成は介護支援専門員の専管業務であり、AI出力はあくまで下書き・情報整理として位置づけます。

記録要約も同様に、医療的判断の代替にはならないことを職員に周知します。

第三に、利用者・家族への説明と同意です。

介護記録・申し送りでAIを使う場合は、施設利用契約書または重要事項説明書に「業務効率化のためAIを活用しており、記録データはXX社のクラウドに保管する」旨を追記し、口頭でも説明します。

特に音声入力は「録音していない・その場でテキスト化しているだけ」の点を明示すると誤解が減ります。

これらは形式的なチェックリストではなく、運用1〜2ヶ月でほぼ全ての施設が直面する論点です。

導入支援の現場でも、技術選定より運用ルール策定に時間を取られるケースが多いのが実態です。

施設長・事務長が今日から動かせる3ステップ

記録工数の削減も、申し送りやシフト作成の省力化も、突き詰めると「現場に時間を返す」ための効率化です。ただ効率化だけで見ていると、月10万円の削減が出ても経営の景色は変わりません。

本当に施設長・事務長が握りたいのは、「ユニット別・要介護度別の収支がいくらか」「加算取得率と人件費率がどう推移しているか」「離職率と稼働率がどこで連動しているか」といった、日々の請求データや勤怠データからしか見えない経営の問いです。

AI導入で浮いた時間を、この経営の空白を埋める設計に振り向けることが、単なる省力化を超えた投資回収の本命になります。

介護施設の施設長・事務長が今日から動かせる具体ステップを3つ提示します。

第1ステップは、記録・シフト作業の可視化です。

介護職員3〜5名に1週間、業務を15分単位で記録してもらい、「直接ケア/記録/申し送り/シフト調整/その他」のどこに時間が偏っているかを可視化します。

これだけで、AI化の優先度がほぼ確定します。

記録時間が20%を超えるなら、介護記録AIから入れるのが最短距離です。

第2ステップは、3社見積もりと補助金確認です。

介護記録AI・申し送りAI・シフト作成AIの各カテゴリで、最低3社から見積もりを取り、価格・連携・サポート体制を横並びで比較します。

同時に都道府県の介護ICT導入支援事業の公募時期・上限額を確認し、申請代行の実績があるベンダーを優先候補にします。

ベンダーの「全部入りパック」に飛びつかず、必要な機能だけを段階的に契約することが、過剰投資を避ける鉄則です。

第3ステップは、PoC(小さく試す)の設計です。

最初から全機能を本番投入せず、介護記録AIなら1ユニット(10〜15床)だけで4週間試す、シフト作成AIなら翌月分の下書き作成のみに使うなど、影響範囲を絞ります。

現場リーダーが毎日ログを確認し、要約誤りや不便な点を早期に潰すことが、本番展開後の現場離反を防ぎます。

どのステップも、施設内だけで完結させるのは負荷が大きいのも事実です。

業務棚卸しから優先順位付け、ベンダー比較の判断軸まで、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で外部目線を入れると、ベンダー選定と補助金活用が同時に進みやすくなります。

まとめ

介護施設のAI化は、介護記録の音声入力から始め、申し送り要約、シフト作成AIへ進む順序が現実解です。

費用は初期20〜100万円・月額3〜10万円が目安で、50床規模で月80時間程度の記録工数を削減できれば6〜12ヶ月で回収できます。

技術より運用ルール策定(介護保険法・個人情報・利用者説明)の方が時間を取られるため、現状業務の棚卸しと運用ガイドライン整備を最初に手当てすることが定着の条件です。

介護ICT導入支援事業などの補助金活用で、初期費用のハードルは大きく下げられます。

「自施設のどこから入れるべきか」「補助金をどう組み合わせるか」を判断するのは、孤独な作業です。

初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)では、貴施設の業務記録から優先順位を一緒に整理し、具体的な改善案までお持ち帰りいただけます。

施設種別・入居者層に応じた現実的な打ち手をご一緒に検討します。

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よくある質問

Q. 介護施設のAI化はどこから着手すべきですか?
A. 介護記録の音声入力+AI要約から始めるのが定石です。理由は3つで、①現場負荷が最も重い領域である、②スマホ・タブレットで即日試せる、③国が推進するICT導入補助金の対象になりやすいためです。次に申し送りのAI要約、その後にシフト作成AIへ進む順序が、現場抵抗が少なく費用対効果も出やすい経験則です。介護保険請求・レセプト周辺は最後にすることで、システム連携の難所を後回しにできます。
Q. 個人情報保護や介護保険法上の懸念はどう整理しますか?
A. 原則は「利用者の識別情報を学習に使わせない設定で運用し、データ保管先と保管期間を契約で明示する」ことです。クラウド型サービスでもデータ処理契約(DPA)で学習利用オプトアウトが可能なプランを選び、施設内ガイドラインで「AI要約はケアプランや医療判断の助言をしない」と明文化します。介護保険法上の記録保存義務(原則2年、自治体により5年)も満たすため、AI要約と一次記録の両方を保管する設計にします。
Q. 費用はどのくらい掛かりますか?補助金は使えますか?
A. 介護記録の音声入力+AI要約なら、初期20〜80万円・月額3〜10万円が市場相場の目安です(2026年時点・ベンダー公開資料および支援案件ヒアリングベース)。シフト作成AIを加えると初期+30〜100万円上振れします。介護分野のICT導入支援事業(都道府県ごとに実施)や、業務改善助成金の対象になるケースも多く、初期費用の1/2〜3/4が補助されることがあります。詳細は都道府県の介護保険課・国保連の案内を確認してください。
Q. 現場の介護職員がAIを使いこなせるか不安です。どう定着させますか?
A. 現実解は「音声入力から入り、キーボード操作を要求しない」設計です。ケアの合間にスマホ・タブレットへ話しかけるだけで記録が完成する体験を最初に作ると、抵抗は大幅に減ります。導入後1〜2ヶ月は現場リーダーが週1回、要約の誤りパターンを収集して辞書登録・プロンプト調整を行う運用が定着条件です。ITが苦手な職員には最初は既存の紙記録と並行運用し、3ヶ月かけて段階的に切り替えると離脱が防げます。

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